エピソードZERO


〜 とも君の話 〜



1    ZEROの前に…
 
  とも君。動物が大好き。将来は獣医さんになろう。
  ―――獣医さんはすご〜く頭がよくないとなれないのよ。
  ……。じゃあ将来は動物の写真家になろう。
  ―――動物を撮れるようになるまでには、人も物もいっぱい撮らなきゃならないのよ。
  ……。将来は動物園の飼育係になろう。
  それが とも君。小学3年生。
 
  小さい頃…、というほど小さい頃のことは覚えていない。小学校1,2年の出来事さえ もはやあやふやだ、と後に語ったので、とも君が1歳で「わんわん!」と言いながらイヌに近づいて行ったかどうかはわからないし、5歳で捨てネコを拾ってきて泣いて親に頼んだなんて逸話も残ってはいない。
  小学生の頃は近所の野良ネコを追いかけ、イヌを見かければワクワクしていた。それぐらい。ごく普通の子だった。ネコの絵はよく描いた。
  とも君は特にみんなより大きくもなく、小さくもなく、兄ちゃんのお下がりのズボンをはいて、髪は短く、ちょっとボサッと母さんに切られていた。元気いっぱい、友達いっぱい。でも保育園に入った日、母さんと引きはがされて大泣きしたというから、本当はそんなに強い子ではなかったのかもしれないね。でも人に笑われるのは大っ嫌いだったから、いつの間にか「強い子」って言われるようになっていったの。
 
H16年8月23日(月)


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