獣医の卵 編

6    直検のすすめ (2004/08/23)
 
牛の直腸検査。
難しい。
これはもう。
学校付属牧場での実習の時は 時間かけてわかるまで触らしてもらったけど。
人んちの牛、しかも子をつけたりする大事な牛をグチャグチャ触るわけにもいかない。
でも学校で習った乳牛と実習の和牛でも触れ方が違うから最初はホントよくわからない。
「こればっかりは経験やから牛1000頭触ったらわかるようになるわ」
 
う〜ん、難しい。
でも どんな道に進むんであれ、卒業した後も学んで行かなきゃならないことがテンコ盛りなんだな、ということか。
人生日々勉強、日々成長(笑)。
 
 

7    淡路島:牛の実習開始!! (2004/08/22)
 
夏休みの課外実習として大動物の診療を見ようと決めたのは6月頃だっただろうか?
みんなで行くのではなく、ワイワイとではなくて自分のために行動し、何かを得たいと思っていた。
「大動物臨床」に進みたいのか?
その答えは自分の中にはまだない。
今の目標??
手に掴めるほどの形を成すものではない。
だから多分、この旅立ちは一つのワガママであり、でも自分が自分らしく進むためのステップなのだと思う。
或いは人と同じことだけでは満足できない性格がそうさせただけなのかもしれないが。
 
そして単身淡路島へ。
突如 四国と淡路を襲った豪雨とともに、私は島へ入った。
牛が流されるほどの雨が上がって、私がそこで何を見たのか、見えない未来へ一歩でも進んだのか、そのカケラの記憶をここに残そう。
 

8    オペ室の中のこと (2004/08/07)
 
オペ室の中のこと
その子の最愛の飼い主さんはそこにはいません。
ただ元気になると信じて
遠くで祈っていてくれます。
 
その子は眠ったまま、
恐さや痛さを防ぐ手を私たちは尽くします。
命を守ること、繋げるために神経を研ぎ澄ませます。
 
オペ室の中で
それでも命を失う子もいて
だから、それでも信じてもらえているのか私にはわからない。
でも
「エマ(エマージェンシー)です!」の声に
走り抜ける緊張と、焦りと、祈りと、真剣さと、
まだ未熟で立ちすくむ自分への情けなさと、
守りたいと願う心、力があることはわかってください。
 
お母さんが入れない手術室の中で
その子が戦っていること、獣医師が戦っていること、
贅沢を言っていいのならその両方のために祈って欲しいんです。
 
 

9    ゴキブリ恐怖症 (2004/07/28)
本気で悲鳴あげて泣くかと思った。
誰のせいというより、犬舎当番を夜にまわした自分のせいなんだけど…
こんな恐いと思わなかった。
疲れのせい??
 
前室の扉あけて巨大なのが、いち・にぃ…動く触覚。
悲鳴は既にイヌ達の鳴き声と重い扉に阻まれて、かき消える。
 
もっと巨大なヤツから30cmも離れてないケージに近付く
冷や汗…涙出そう、気持ち悪い…
高所恐怖症とかって こんなだろうか?
違うこと考えて笑おうとしても、こわばる心、体。
やばいなぁ。
もはや卒業研究はゴキとの戦い。
負け続き。
乗り越えて、立派な獣医さんにならなきゃなのにぃ(>_<)o
 
 

10    牧場・思い出:夜バージョン (2004/07/14)
 
前日泊。
2年前、出会いたてで語った友と1つのベットで秘密の交換。
くっつき眠り、始まる夏の牧場。
 
朝夕は馬に乗り、
「乗り」っていうか馬が「乗せてくれる」域を脱しはしない…。
でも、「走って!」って足に込めた力が伝わった瞬間の、全てを巻き込む興奮。
はな。綺麗な馬。ありがとう、大好き!
 
夜は200Mのローラーすべり台。
女の子だってのに脱線してはアザだらけになる。
弾けるように笑って叫んで、声渇らして…、ドキドキする。
でもって夜景と夜道のカーブにまた叫ぶ。
 
だって夏だから。
だって牧場だから。
だって仲間だから!
 
疲れて一人眠りたい夕暮れがあり、
じっと携帯を気にして時間が過ぎるときがあっても…、
でも うちら仲間だから!
一緒にいる時間も最高級なのさ。
 
実習の帰りの日、締めくくりに海で騒ぎ、ハシャギ、砂に埋められ真っ黒になり…、
友に今までよりか一歩近付いた。
 
 



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