ペットロスについて近頃よく考える。
一つは突然失い、してやれなかったことの後悔の痛み。
一つは失う前に気付き、最前は尽せても所詮止められない時間への恐怖。
獣医になれば闘病の風景にも、死にさえもじきに慣れる。
けどペットロスは?
そこでは自分は獣医ではなく一人の飼い主だ。
例えば『ペットロスをこえて』という本を読んでフォーマット通りにこなせばいいのなら、どんなに気が楽だろう。
けれど これは先人からは学べない。
ペットロスから学ばれるどんな恩恵も傷を塞ぐためのバンソコウ。
花の香りがしようともかわいいキティちゃんがプリントされていようとも、それはやっぱりバンソコウ。
完全に傷が消えるわけじゃない。
失ったウサギのおかげで今の自分がいるとしても、守る夢があるとしても、後悔に流れる涙はいつまでもしょっぱいまんま。
きっと「失う人」をこれからいっぱい見るだろうから、獣医師として共に泣くわけにはいかない時を乗り越えて、少し答えが見えてきたら、「失った人」の心とちゃんと会話のできる そんな獣医さんになりたいと思うのだった。
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